葉流座

-ことの葉うた語り-

藤原宮子を訪ねて海龍王寺から法華寺

来年の道成寺での桜・舞イベントで聖武天皇の母上である藤原宮子を主人公に創作が決まりました。

道明寺は能の演目にもある安珍清姫の物語で有名ですが、もともとは文武天皇が宮子の心を慰めるために建立されたお寺で、奈良の藤原京平城京とも深い縁のあるお寺です。

世が世なら・・・平城京の郊外である場所に拠点を持つ葉流座ともご縁を感じつつ、雨の中、平城遷都のあと宮子が住んだといわれる藤原不比等の元邸宅、海龍王寺から法華寺を回りました。

海龍王寺

龍王

十一面観音に祈る、歌い手の中橋怜子。
時を隔ててこの場所にいたであろう宮子に物語にすることをお許しいただく祈り。

雨に夏の名残を癒される古いお庭を歩いた後、歩いても5分程度の場所にある法華寺へと向かいます。

法華寺

法華寺聖武天皇の后、光明皇后が宮子の霊を祈ったという尼寺門跡寺院です。
ここにも十一面観音がいらっしゃいました。

道成寺には千手観音がいらっしゃいますが、千手と十一面両方お持ちになる千手十一面観音という像もあり、衆生をあまねく救う観音様の同じ表現なのかもしれません。
天武天皇持統天皇の血脈をつなぐ、たった一人の文武天皇聖武天皇の成長を見守るひとたちの祈り。

そしてそのために流された累々たる皇族の血。
転じて市中を眺めたときに蔓延する疫病(天然痘)や水害、飢饉。
十一のお顔で眺め、千の手で救ってもらわなくては平和が訪れないかもしれない・・・そんな心で観音様に祈る姿を思い描きながら、来月は宮子の故郷、御坊の道成寺に行ってきます。 
Writer:今谷多日子)